交通事故の類型の中に、「車両単独事故」があります。これは電柱などの工作物への衝突や路外への転落など、運転者が単独で引き起こした相手のいない事故を指します。 今回は、車両単衝による死亡事故の特徴や防止策についてまとめました。
死亡事故につながりやすい車両単独事故
令和6年の交通統計 (公益財団法人自動車事故総合分析センター発行) の車両単独事故の発生状況をみると、交通事故 (人身事故) 件数は全体の4.2%に過ぎませんが、死亡事故では全体の28.3%を占めています。死亡事故率 (交通死亡事故÷交通事故) でみると、人対車両事故が2.4%、車両相互事故が0.4%に対して、車両単独事故は6.1%と非常に高くなっており、この傾向はほぼ毎年同様です。
車両単独事敵の発生件数は少ないものの、いったん発生すれば人対車両や車両相互に比べて死亡事故につながりやすいことを示しています。

車両単独死亡事故の特徴
単路での事故が多い
人対車両や車両相互の死亡事故では、交差点とその付近が単路の発生件数よりも多くなっていますが、車両単狐の死亡事故では単路の発生件数のほうが多く、7割近くが単路で発生しています。単路には、カーブ・屈折とその他の単路の二つの種類がありますが、カーブ・屈折よりもその他の単路のほうが多く発生しています。

工作物への衝突が多い
車両単独事故では、電柱や防護柵などの工作物への衝突が多くなっています。これらは強固に作られているため、衝突したときの衝撃が吸収されにくく、破壊力が大きくなります。
そのため死亡事故につながりやすい要因の一つと考えられます。
転落はその他の単路が多い
転落は、カーブ・屈折で発生しやすいように思われますが、実際はその他の単路において最も多く発生しており、転落死亡事故の5割近くを占めています。
夜間より昼間のほうが多い
昼夜別の全死亡事故では、昼間が52.7%、夜問が47.3%で、両者に大きな差はみられませんが、車両単独死亡事逆では、昼間が62.1%、夜間が37.9%であり、かなり昼間のほうが多くなっています。

車両単独事故防止のポイント
速度を抑えることが基本
車両単独事故は、他の事故に比べて走行速度が高い傾向があるといわれています。 速度が高いと、わずかなハンドル操作のミスでも車を制御できなくなり、工作物などに衝突する危険性があります。また、衝突時の衝撃力は速度に応じて大きくなるので、電柱や防護柵などの強固な工作物へ衝突すれば、死亡事故につながるおそれがあります。まずは速度を抑えて走行することが車両単独事故を防止するための基本です。

注意力や集中力を持続する
先に述べたとおり、車両単独死亡事故は、カーブ・屈折よりもその他の単路で多く発生していますが、死亡事故に限らず事両単独事故全体をみても、カーブ・屈折の5倍以上多くなっています。交通環境の変化の少ない道路で多く発生しているものと考えられますが、なぜ、そのような道路で車両単独事故が多発するのでしょうか。速度を出しやすいことも一因と考えられますが、過去に車両単独事故を分析した「イタルダ・インフォメーションNo80 2009」 (公益財団法人自動車事故総合分析センター発行) によると、「車両単独事故の多くは、交通環境の変化が少ない単路において、漫然・脇見運転等により危険を見すごし、減速されることなく、ハンドルの操作が無意識に行われ、工作物等への衝突を起こしています」とされています。「ハンドルの無意識操作」とは、脇見・居眠り・漫然運転等により、意識しないで車道をはみ出すハンドル操作が行われることをいいます。交通環境の変化の少ない道路は走りやすい道路ですが、の反面単調であるため油断が生じて脇見運転、漫然運転、居眠り運転に陥りやすいという落とし穴があります。特に体調が悪いときや疲れているときは、そのような運転状態になるおそれが高まるので、その点をしっかり頭に入れて、常に注意力や集中力を維持した状態で運転するということが車両単独事故防止の重要なポイントになります。

シートベルトを必ず着用する
シートベルトは、交通事故に遭った場合の被害を大幅に軽減するとともに、正しい運転姿勢をとることにより疲労を軽減させるなどの効果があります。車を運転するときは、運転者自身がシートベルトを着用するとともに、助手席や後部座席の同乗者にもシートベルトを正しく着用させる必要があります。
